
磨き抜かれた匠の技
16世紀後半、ポルトガルから伝わったタバコが国内で栽培され、タバコの葉を刻む包丁が大量に必要になったために、堺で初めて「タバコ包丁」が作られるようになりました。その切れ味の鋭さから、江戸時代には、幕府から「堺極(さかいきわめ)」の印を受け、専売品としてその名を全国にとどろかせたのです。 一本一本丁寧に仕上げられた堺の包丁は、プロの料理人からも高く評価され、使用する包丁のほとんどが堺製であるといわれています。依頼者の希望にあわせ、厚さや長さを数ミリ単位で仕上げるこだわりの一本は、包丁とまっすぐに向き合う職人の姿勢と、状態を見極める勘の鋭さが生み出すもの。磨かれた匠の技は、食文化の発展に大きく貢献しています。

鉄砲鍛冶から受け継がれた知恵と技
戦国時代から、金属加工について豊かな経験と高度な技術を受け継いできた堺の鉄砲鍛冶。自転車のフレーム加工や部品を取り付けるネジの製造などに大いに力を発揮しました。 鉄砲鍛冶の技術を生かして、故障の多い明治時代の輸入自転車の修理や部品製造にあたったことが、堺の自転車産業の始まりで、現在も国産自転車の約4割のシェアを誇っています。かつて戦国の世を席巻した堺の技術は、幾百年の時を経て、平和な時代を象徴する技術へと受け継がれました。

やさしい風合いを生み出す手染めの魅力
和ざらしとは、木綿から不純物を取り除いて漂白した生地のことで、江戸初期から水量の豊富な石津川沿いで多く生産されてきました。ゆかたの染色業が堺に発達したのは、第2次世界大戦後のこと。大阪市内の染色業者が戦災を逃れて移転してきたことに始まります。全国で7割のシェアを誇る和ざらしの発展とともに、生地に染料を注いで染める手染め法が産業として堺の地に根づきました。 伝統的な注染で丹念に染められたゆかた地は、機械で表面だけにプリントしたものと違い、生地の裏側にまでその柄が色あざやかに出ており、長く着ても色あせがないことが特長です。










