360度パノラマの絶景を満喫! 空から眺める世界遺産 「おおさか堺バルーン」体験レポート

世界遺産・仁徳天皇陵古墳で有名な、百舌鳥古墳群が広がる堺のまち。2025年10月、この古墳群を空から楽しめる気球フライト「おおさか堺バルーン」が運行をスタートしました! わずか数分で上空約100mの世界へ。ぐるり360度の大パノラマで、雄大な眺望はもちろん、巨大な前方後円墳の数々を見渡すことができます。新たな発見と感動に満ちたこの空の旅を、堺観光コンシェルジュがレポートします。

「おおさか堺バルーン」始動!
百舌鳥古墳群のために生まれた、“未来志向の気球”とは?

 

学生時代の教科書や旅のガイドブックで一度は見たことがある、壮大な仁徳天皇陵古墳の航空写真。あの眺望を自分の目で見られたら——。堺に暮らす人はもちろん、世界中の古墳ファンの長年の夢が、2025年についに実現しました。

 

2025年10月に誕生した「おおさか堺バルーン」は、環境や人にやさしいヘリウムガスを用いた安全・安心で快適な約15分間の気球フライト体験です。

左:田中美里さん、右:葛井紗羽さん(ともに堺観光コンシェルジュ)

 

気球のりばがあるのは、堺市のシンボルパーク「大仙公園」のほぼ中央、仁徳天皇陵古墳のすぐ南側という、古墳を見るには絶好のロケーションです。気球フライトを今回体験したのは、堺観光コンシェルジュの田中美里さんと葛井紗羽さん。空に浮かぶ真っ白なバルーンを目印に、広大な園内を進んでいきます。事前予約を済ませていた二人は、QRコードをかざしてスムーズに受付完了。早速気球に乗り込みました。

 

気球フライトは空き状況により、当日受付もしています。
のりばには観光案内所も併設され、搭乗後の観光コースの相談や気球グッズなどのお土産も購入できます。
また、願いを記したリボンを結び、空へ託す気球型オブジェも設置されています。

 

「想像以上に大きくてびっくり!」と二人が驚いた気球は、シンプルでスタイリッシュなデザインが魅力。ぷかりと浮かべば、まるで雲のように周囲の美しい空や緑にとけ込みそうです。それにしてもこれだけ大きな気球を、公園や住宅地の真ん中で使用しても大丈夫なのでしょうか?

 

その答えを受付のスタッフさんが教えてくれました。ヘリウム気球はガス自体の浮力で飛ぶため、熱気球のように燃料を燃やす必要がなく、飛行中のCO2排出はゼロ。大気を汚さないのはもちろん、エンジン音もなく静かな運行ができるそうです。つまり、世界遺産周辺の環境を守ることを一番に考えられているのだとか。ちなみに、ヘリウム気球を都市部で運行するのは、国内では堺が唯一だそうです!

 

いざ出発。上空約100mの絶景体験へ!

 

 

離陸した気球は、音もなく静かにすーっと浮かび上がり、ぐんぐん上昇していきます。園内でひときわ高い堺市平和塔もあっという間に追い越して、わずか数分で地上約100mの見学ポイントに到着しました。この高さはマンションの30階と同程度。空気も澄みわたり、季節によっては少しひんやりするほどです。眼下には緑あふれる古墳群と堺のまち並み、遠くには大阪市内や府南部の風景が広がります。

 

気球は係留式のため、地上とは鋼鉄製のワイヤーロープで繋がれています。

 

おおさか堺バルーンのゴンドラは、中央が空洞になったドーナツ型。パイロットさんの案内のもと移動することができ、360度全方位から景色を楽しめるのが最大の魅力です。ちなみに古墳とは、土を高く盛り上げて築かれる古代日本のお墓のこと。堺が誇る百舌鳥古墳群は、築造当時100基以上で構成されていましたが、現存するのは44基。ここから多くを眺めることができます。

 

 

まずは、すぐ目の前に広がる仁徳天皇陵古墳をじっくり鑑賞。三重の濠を含めた全長は840m、幅654m。築造は5世紀半ばと推定され、エジプトのクフ王のピラミッド、秦の始皇陵と並ぶ「世界三大墳墓」のひとつに数えられているとか。まさに圧巻のスケールです!

 

「飛行機も重機もない時代に、どうやってこれほど巨大な古墳をつくったのだろう?」二人も興味津々のようすです。

 

 

なお、古墳の形はさまざまありますが、4世紀後半から6世紀に造営された百舌鳥古墳群に見られるのは「前方後円墳」「帆立貝形墳(ホタテの貝殻に似た形)」「円墳」「方墳(四角形)」の4種類。なかでも前方後円墳は日本独特の形で、その成り立ちや役割については諸説あるとか。一説では、当時のお墓の形や規模は被葬者の政治的地位を表し、その最高位にあたるのが前方後円墳と考えられています。

仁徳天皇陵古墳を眺めているうちに、濠を囲むように点在する“緑の小山”の存在に気づいた二人。実はこれらもれっきとした古墳です。たとえば、拝所(参拝所)のある南側には孫太夫山古墳竜佐山古墳が、北西の方角には丸保山古墳などが見えます。

写真上で丸で囲んだのが、周囲を囲む古墳の一例です(実際には10基以上あります!)。これらは「陪塚(ばいちょう)」と呼ばれ、大きな古墳に寄り添うように造られたもの。主墳と陪塚は一定の計画のもとに配置されており、陪塚には主墳と関係の深い人物が葬られたり、多くの副葬品が埋納されています。

「陪塚があることで、仁徳天皇陵古墳の偉大さがさらに際立つ気がします」(田中さん)。
「気球の上からいくつ見つけられるか、挑戦するのも楽しそうですね!」(葛井さん)。

 

絶景はまだまだたくさん!必見の古墳をご紹介

履中天皇陵古墳

仁徳天皇陵古墳からぐるりと180度視線を移せば、日本第3位の大きさを誇る履中天皇陵古墳が見えてきます。墳丘長365mの巨大な前方後円墳で、築造は仁徳天皇陵古墳より少し早い5世紀前半。こちらも天皇陵とあって堂々たる風格です。

 

ここでは、前方後円墳を後円側から眺められます。手前に見える七観音古墳は美しい円墳。気球からは小さく見えますが直径約33mで、世界遺産にも登録されています。

御廟山古墳・いたすけ古墳など

続いて南東に目を向けると、大小さまざまな古墳が点在しているのが分かります。視界の中央、濠にたっぷりと水をたたえるのが御廟山古墳。百舌鳥古墳群では4番目の規模を誇り、家形や盾、冑(かぶと)などさまざまな形象埴輪が出土しています。その奥に見えるのが、墳丘長約300mで全国7番目の大きさのニサンザイ古墳です。

 

マンションを背にした前方後円墳はいたすけ古墳。1950年代に熱心な市民運動によって保存が決定した、胸熱のドラマのある古墳です。

 

小さな古墳では、大仙公園内にある円墳のグワショウ坊古墳や銭塚古墳なども見つけられます。公園の植栽と見分けづらいものもありますが、こんもりと密集した木々を見つけたら、地図と照らし合わせてみるのがコツのようです。

西側は大阪湾。古代ロマンに思いをはせて

 

港町として栄えてきた堺では、海側の景色も見逃せません。西側には大阪湾が広がり、堺旧港や堺泉北臨海工業地帯、その先には淡路島、天気がよければ明石海峡大橋も望めます。

 

搭乗前、古墳好きのボランティアガイドさんが教えてくれたのは、「海側を見るときは、古代の風景を思い浮かべてくださいね」というものでした。現代では埋め立てが進み、古墳群と海は3km近く離れていますが、はるか昔は仁徳天皇陵古墳のすぐそばまで海岸線が迫っていたのだとか。

 

堺に古墳が造られたのは、大陸との交易が盛んになりはじめた時代。海を越えて大阪湾にやってきた人々にとって、この古墳群はひときわ強い存在感を放っていたことでしょう。想像するほどにロマンが広がります。

 

百舌鳥古墳群の歴史や詳しい見どころについて知りたい方は、「堺市博物館」(2026年4月まで休館)や「百舌鳥古墳群ビジターセンター」を訪ねるのがおすすめです。仁徳天皇陵古墳の石室内部や副葬品、古墳の上や周囲に並べられた埴輪についての紹介もあります。

 

 

 

 

搭乗後のお楽しみ
大仙公園にある“気球映えスポット”へ

 

 

約15分間の空の旅を楽しんだ後は、大仙公園内をはじめ、堺市内の観光へ出かけたり、今度は地上から古墳を眺めてみるのもおすすめです。おおさか堺バルーンは約15分に1回運行しているので、大仙公園内のさまざまな場所から浮遊中の気球を撮影することもできます。

 

撮影スポットのおすすめは「DAISEN PARK」のモニュメント付近(大芝生広場)。真っ白な造形と気球、青空と緑のコントラストが見事で、絵になる1枚を撮影できます。ひょうたん型の「どら池」のほとりも人気のスポット。遠近法を使えばユニークな写真を撮れるかも!? ぜひトライしてみてください。

 

最後に、堺観光コンシェルジュの二人に気球フライトの感想を聞いてみました。

 

「地上ではわからなかった古墳の形や大きさ、全貌がわかり、圧倒されました! ほとんど揺れを感じないほど快適だったので、お子さんからお年寄り、車椅子の方も楽しめるのがいいなと思いました。どんどんPRしていきたいです」(葛井さん)。

「わずか15分で、堺の魅力を凝縮した体験ができるのが素晴らしいですね。この気球に乗ってから観光すれば、より楽しめると感じました。海外からのゲストにもきっと喜ばれると思います!」(田中さん)

 

おおさか堺バルーンの価格は、WEBで事前予約をすれば大人1名 4,000円、子ども(3〜15歳)2,800円。空き状況により、当日受付も可能です(大人4,200円、子ども3,000円)。ほかに堺市民の方、障がいのある方向けの割引もあります。申し込み方法や運行状況などの詳細は、以下よりご確認ください。

 

協力:アドバンス株式会社(おおさか堺バルーン)

取材・文:山口紀子 / 撮影:祐實知明

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